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出崎監督、アニメ界において、裏方さんの知名度は、なかなかその作品ほど高くないものだが。
 彼の担当した「あしたのジョ-」「エ−スをねらえ」「ベルサイユのばら」「おにいさまへ」のアニメ版は知らない人はいないのでないか?私は、監督の「あしたのジョ−2」の大ファンであり、3桁近く,観なおしている。
 監督の演出はまさに神業でもあり「日本のアニメはなくなってもいいが、監督がいなくなっては困る。」といわしめるほどである。
(ついでに、あのトラウマに残る「天才バカボン」の、人生やめたくなるような、エンディング作ったのもこのお方です)
 監督がいれば、アニメ界は大丈夫、そう思っていた矢先に、あのハム太郎問題が、勃発してしまった。
 これはとんでもない一大事だ、監督の身が危ない、そう確信した 私達(メガネ二人組み)は早速、緊急に出崎監督保護委員会を結束し、調査に乗り出した。
いまは随時、情報収集中である。これを見た方も,なにか情報があれば、すぐ、メ−ルで教えていただきたい。
 なお、この下には、我々が収集した、監督の発言などを、断片的だが、掲載しておく。あくまで、曲解を招かぬよう、コメント等はひかえさしていただいた。

ニュータイプ 1998年 1月号より

 ここ最近、1年近くエイハブという男とつき合っている。身長約2メートル、どっから見てもサラリーマンには見えず、ほぼ腕力系の犯罪者風で、その実まったくの犯罪者だ。現在脱獄中でもうすでに10年以上は逃亡中、その上キング・クーロンという宇宙ステーションのスラムに住みついて会社まで興した。エイハブ鯨捕りカンパニー。本人は代表取締役社長で社員もしっかりと雇っていたりする。鯨捕りなんていうと洒落ているが、本当は廃品回収業者だ。宇宙空間に捨てられた宇宙船から金目のものを回収し、それを売り捌く。時にはまだ現役の他人の船までやっちまうから、ま、まともな仕事じゃあない。本名はエイハブ・イシュマール・アリ。左眼は失明していて左足も膝から下はない。声は大森明夫風で、ドスの効いた迫力のある声から、軽い女たらしの声まで、時と場所に応じて使い分ける。この男と僕は時々、コーヒーを飲んだり、酒を飲んだりする。この間、練馬区の光が丘にあるホテルに僕は別の仕事でカンヅメになった。ビデオシリーズの『ゴルゴ13』の絵コンテを作るためだ。光が丘は今は大きな団地があって有名だが、その前は米軍の広大なキャンプがあった所で、ロケーションが結構良く、どこか静かでひろびろとしている。静かでひろびろとして、その上、日常のうるさい電話から逃れられるとあって、僕はほんの一瞬だが自由を満喫していた。陽差しは柔らかく、そのホテルの中庭に人影はなかった。本当は必死で絵コンテを切らねばならなかったのに。タマにはいいじゃないかと、自分にいつもの言い訳をして、その中庭に降りてみたのだ。そのホテルにはスポーツセンターが隣接しており、時々その中庭を横切る美しげなおねえさんなどがいて、あれこれ楽しい『ボー』をしていたのだが、だが、あいつが現れたのだ。
  「どうするわけ?」「なにが」「俺が下らない駄洒落を言ったり、イカスミスパゲティを喰って顔を真っ黒にしたり、最近じゃ、なにかと出来の悪い俳句だか和歌だかを連発して、うけねらいすぎてる」「……」「本来、エイハブっちゅう男は、自分の片眼、片脚を喰いちぎった白鯨に憎悪を燃やして、復讐するってストーリーじゃないの?」「脱線してるってのか?」「うん」「つまらないこと言うんじゃないよ、エイハブともあろう者が!」「だってよ!」「いいか、エイハブという男は、ストーリーなんていうケチな枠組みなんかには、決して納まっちゃいけない男 なんだ! 自由奔放、道草OK、失敗もすりゃあずるもする。嘘なんか平気でつくし、可愛い女の子はいいなーなんてすぐ思っちゃったりもする。都合の悪い時は笑ってごまかすのも得意だ!」「……」「解放ってことさ、いつも精神を解放しとくってことなんだ、いざって時のためさ!」「いざって時、あるんだ…」「あるさ! きっとある!」そんな時には一気に精神を集中する。一気にバアーっと行く! そういう男さ! いつもだらしなくやってる様に見える男程、いざって時はもの凄い力を出すものなんだ! 心配するな!!」  
  気が付くとエイハブはいなくなっていて、僕の携帯はピーピーッと鳴った。あ、まだ一ページも絵コンテは出来ていない。 エイハブが向こうの方で振り返り、ニッと笑うのが見えた……。いざって時が少し多過ぎる 



心を鎖した者、光りを捨てた者、絶望

 の地獄を這い回り未来という時をなくした者、

 『鬼』となった者はこの浜に立て、やがて沖

 に雪より白く、山よりも大きな使いが現われ

 おまえが本物の『鬼』かどうか試すであろう。



  少年は待つ。 自分がもうすでに『鬼』

 になっていることを確信して、自分にはもう

 未来という時がなくなってしまっていることを確

 信して・・・・。



  やがて少年はもう1人、この浜に

  もうその竜骨まで見せている廃船のカゲ

 に真赤な花を咲かせて…少女が居た

 のだ。

  三日に一度咲くその赤い花を喰べて、

 少女はもう1年もこの浜で待っている

 という。



  一輪あげるわ、とても不思議な味が

 するのよ。



  最初の一口で少年は訳もなく涙が流

 れ出す。 ぬぐってもぬぐっても苦しい程

 の鳴咽と共に涙が流れ出るのだ。



  ケラケラと少女は笑って言う



  悲しい思いをした分だけ涙が流れる

 の、大丈夫、すぐに止るわ。



  次の一口からは、とても甘い香りがして

 少年の気持ちを落付かせた。



  河底に寝そべって、水面の光りを

 見上げているような静かな、とても平和

 な気分だ。 体の中の風の音さえ

 少し和らいだような気がする。

  君も俺と同じ『鬼』だなんて信ん

 じられない。 君も俺と同じ様に

 白鯨を待っているなんて信んじられない。



  どうして・・・?
(・・・・たとえばANIMATIONについて より)
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出崎統監督